自然豊かな瀬戸内の海沿いで、子育てと、教育を。
下津井城趾公園付近の下津井の町並みを見下ろせる場所にご家族で移住され、「さかのうえの学習塾」の運営をされている氷川雅則さんに、移住の動機や移住後の生活についてお話をお聞きしました。
氷川さまは東京からの移住とお聞きしていますが、いつ頃移住され移住をされる前はどのようなお仕事をされていたのでしょうか?
下津井に移住をしてきたのは、令和3年5月ですね。生まれは兵庫県神戸市で、大学進学時に上京し、約30年間東京で暮らしました。大学院時代から予備校や大学、英語専門塾などで講師をし、その後、個人事業主として学習塾を経営していました。コロナ渦でオンラインでの授業をはじめて、半数の生徒は移住してからも指導を続けました。
今はどのようなお住まいに住まれていますか?
私たち夫婦は国際結婚で、就学前の子ども2人と4人で生活をしており、3階建ての賃貸住宅のワンフロアーを借りています。
東京にいるときは、店舗と住宅の賃料だけで25万円ほどしていました。それに比べると下津井は、その数分の1で借りられるので、固定費用を抑えられて大変魅力的です。
ご家族は東京を離れることはどうでしたが?
妻は自然が豊かな方が良いという考えで、反対はなかったです。子どもたちは、当時はまだ幼かったので、移住ということに対してあまり理解していなかったと思いますが、上の子は生まれ育った家を離れたことについて、寂しく思う気持ちはあったようです。
今回、移住を考えられたのはどうしてですか?
また下津井以外の候補先や移住に当たっての検討事項などについて聞かせてください。
子どもが小学校に上がる前に移住をしようと決めていました。瀬戸内海に面した土地で海のそばに移住したいと考えていました。広島県の江田島とか、岡山県では笠岡諸島や和気町、備前市などが候補としてありました。
私自身、地形マニア的なところがあり、下津井に対して当初から魅力を感じていたのですが、学習塾を始めるのにいい場所が少ないため、あまり期待はしていませんでした。
しかし、他の土地と並行して探していたところ、いい物件が見つかったため、最終的に下津井に決めました。
家族で移住するのは勇気が必要でしたが、子どもが小さいうちに移住できたのはよかったと思います。
どのように1日の生活を過ごされていますか?
午前中は子どもの保育園の送迎をしたあとに他の用事をしています。午後4時頃から学習塾が始まりますので、その準備に取り掛かります。受験前は忙しく、午後10時頃に終わります。
私の学習塾の特徴として、小学生に対しては「探究学習」といって、ものづくりや自然の中での学びを大事にした週1時間の授業を行っています。下津井は海も山もすぐそばにあるため、こういった学習が可能なんです。将来的には下津井の町中での活動も増やし、社会や経済の仕組みも学んでもらおうと考えています。
移住して良かったこと、また、苦労したことはありますか?
良かったことはたくさんありすぎて全部をあげることはできませんが、やはり恵まれた環境の中で家族皆で過ごせるというのは幸せなことです。また、コロナ渦とはいえ、地域の人たちと交流・活動する機会があるのもうれしいですね。
苦労したことは特にないのですが、驚いたのはシロアリです。梅雨前になると。ガラス窓に飛んできたシロアリが張り付くんです。虫嫌いの人はギョっとするかもしれません。
また、こちらに来る前は、買い物など欲しい商品が買えないかもしれないなと思っていたんですが、児島のお店は品揃えも豊富で、ほとんど困ったことはないですね。それでも足りないものは倉敷市内のイオンモールまで買い出しに行っています。
また、市内の南部はとても道路事情が良く、ほとんど渋滞がないのが予想以上に快適です。
地区の自治会など、地域の活動に関わっていますか?
引っ越してきたときに自治会長さんが地域について親切に紹介してくれたりと、スムーズに地域に入ることができました。今は、自治会に入っているので、ゴミ当番もありますし、町内の回覧板も回ってきていますね。
ただ、自治会に入っているからといって特別な役割をすることはないですね。
また、地域の活動として、下津井シービレッジプロジェクトで地域おこしの活動などもさせて頂いています。
移住に当たって、行政の支援や補助金などは利用しましたか?
東京の有楽町にある「ふるさと回帰支援センター」を積極的に利用しました。
そこでは、地域の窓口や支援金なども調べて教えてもらえます。倉敷市やその他の地域の「お試し住宅」もたくさん利用しました。
また、東京23区からの移住者を対象にした「移住支援金」は、引っ越しや移住の準備に費用がかかったのでとても助かりました。
最後にこれから移住を検討されている方へのメッセージをお願いします。
私を含め先輩移住者にどんどん相談してみてください。実際に移住した人と直接、あるいはオンラインなどでも相談をすれば、移住のすばらしいところ、苦労するところをより具体的に知ることができます。日本の地方には、とてもすばらしいところが多くあって、私たち家族は移住をしてとてもよかったと思いますので、たくさんの人に移住をしてもらいたいと思います。